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『受け継がれるもの』
……立て続けに更新はいいんだけど、また小話?

いや、実はもう一個ネタがあって……

しかも今度は私、出番なしでしょ

うん、馨ちゃんと響の祖母・木葉(このは)さんのお話だし

……興味、ないわ

あ、また出て行きやがった
そしてですねー、実はさっきのブログが200件目でした★
いやー、2年?ブログやっといてやっと200件とかしょぼいな

さて、小話に入る前に絵師様への愛を叫びますか←

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この画像は、株式会社トミーウォーカーの運営する
『シルバーレイン』の世界観を元に、
株式会社トミーウォーカーによって作成されたものです。
イラストの使用権は作品を発注した小金井睦月に、
著作権は東原史真絵師様に、
全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
+++++++++++++++++++++++++

どんどん響が表情豊かになっていくわー……。
いつもお世話になってます東原絵師様! 今回も本当にありがとうございました!

ありがとうございました

Σいいトコ取り!?



彼が来ることは分かっていた。
だって彼は玉依姫の守護者なのだから。
血筋や運命に囚われることなく、ただ一人、玉依姫の為だけに動く守護者。
あの子にとって脅威でしかない私達を滅ぼそうとすると思っていたわ。

……あの子は幸せ者、ね。と常々思う。
自分の為に命を張ってくれる者が居るのだから。
私には、居なかったもの。



乱暴な音を立てながら部屋の襖が開かれる。
開いた先に立っていたのは、返り血に紅く染まった死神の姿。
いや、死神などではない。れっきとした玉依姫の守護者だった。


「来たわね、いずれ来ると思っていたわ」

「……俺が来るのが分かっていて、高みの見物か?」

「……いいえ、私はもう歩くこともままならないから」

「大人しく部屋で待っていれば俺が勝手にやってくる、ってわけか」


彼は皮肉を吐き捨て、鼻で笑う。
自分の2倍はあるだろう大鎌を軽々と持ち、革靴のままで部屋の中へ入ってくる。
そして私の目の前に立ち、彼の体に咲く紅い華と同じ色の硝子玉のような瞳で見下す。
その顔は彼の父であり、数年前まで私の専属執事を務めていたあの男に瓜二つであった。
よくここまで立派に成長したものだ、と我が孫のように思っていた彼の成長は、
今正に彼に殺されようとしているにも関わらず、嬉しいものであった。

「えぇ、そうなるわね。……響は元気にやっているかしら?」

「ふんっ、あれだけ毎日刺客と監視を送ってきてる奴の言葉とは思えないな」

「確かにそうだけれど、誰一人私の元に戻って来てはいないから。だから聞いているのよ」

笑顔のままでそう言ってやると、彼はばつの悪そうな顔をした。
視線を私から外し、ため息を一つ吐くと観念したように口を開く。

「……元気だよ。立派に育ってる」

「そう、なら安心ね。貴方は、元気だったのかしら?」

「……なんでそんな事を聞く必要がある?」

逸らされていた赤色の硝子玉がまた私を捉える。
そこには先ほど以上に、憎しみや殺意が込められていたが気付かない振りをする。

「……私にとって、貴方は孫みたいな存在なの。だからよ」

「ハッ、俺がアンタの孫? ふざけるな!!」

怒りに任せて彼は右手で壁を叩く、バキッと音を立てて壁が崩壊する。
余裕に満ちていたはずの表情は今では怒りに染まっていた。
言葉一つで感情を顕にするなんて、まだまだね。
死神と化しかけていた彼にまだ人間らしいところが残っていたことに安堵する。
そう思ったことは微塵も顔には出さないが。
一度吐き出したものは止まらない、彼の口は言葉を続ける。

「アンタが俺の両親を! 家族を殺したくせに!! 俺から何もかも奪ったくせに!!!」

「そうね、私はあなたから沢山のものを奪ったわ」

それは紛れもない事実。
彼から両親を、家族を、住む場所を、人生を、奪ったのは私。
彼が私を憎むのは仕方がないことだわ。

憎しみの篭った瞳は、とても美しい。強い意志を持っている。


「貴方に憎まれるのは当然のことだと思うわ。……だけど」

彼に殺されるのは、私の運命だと思う。
けれど―……。

「あれは双葉が、貴方の父がいけなかったのよ。玉依の秘密を知ってしまった」

彼の父親・小金井双葉は知ってはならない玉依の秘密を知ってしまった。
長年、朱楽家が必死に隠し続けていたあの秘密を。
彼にバラす意思はなかったことは知っている。

「私は朱楽家当主として、玉依姫として秘密を守らなければならなかったのよ」

「アンタはいつもそうだ……、玉依玉依、朱楽家朱楽家って……」


だから、小金井家そのものを滅ぼした。


「そんなことの為に父さんは! 母さんは! 皆は死ななくてはならなかったのかぁあ!」

「えぇ、そうよ。彼らには悪いことをしたと思っているわ」

手にしていた大鎌を振り落とす彼の目からは大粒の雫がいくつも溢れ出していた。
そう、それでいいの。

私は玉依の秘密を守る為だけに、この手を何度も汚してきた。
いずれ、誰かに私は殺されるだろうと思っていた。
それが、貴方で―……。
孫のように思っていた馨の手にかかるのであれば、本望よ。

静かに目を閉じ、己の首が飛ぶ瞬間を待った。

しかし、いつになっても自分の首は飛ばない。
もしかして自分が気がついていないだけなのだろうか、薄っすらと目を開けた。
首まであと数mmという場所で、大鎌は停まっていた。


「……殺さないの?」


目の前の馨はボロボロと涙を流し、声を押し殺していた。
昔、転んで泣くのを必死に堪えていた時の表情とまったく変わっていないのね―。
ぼんやりと昔小さかった頃の彼の姿を思い出す。
よく泣く子であった、転んでは泣き、苛められては泣き。
それがこんなにも立派に育ったというのに、そういうところは変わっていないのね。

「なん、でなんだよぉっ。あんな、に、あんなに優しかった、アンタがっ!」

「……覚えて、いたのね。忘れていると思ったわ。だって貴方、3歳だったのよ」

小金井家を滅ぼす、その瞬間まで―……。
私は本当の孫のように馨を可愛がっていたことを。

「覚えてる、に、決まってるだろっ」

「貴方は本当に、優しい子ね。貴方があの子の守護者で、本当によかったわ」

この子になら、託しても構わないかもしれない。
玉依に続く悪夢の連等を絶つ願いを。
何十年も、何百年も、玉依が隠し続けてきた秘密を。
秘密を守る為に、彼の家族を奪ったというのに、虫がいい話ね。
つい、呆れた笑みが零れてしまった。

まだ泣き続ける馨の両頬に手を添える。

「馨、心して聞きなさい。これは代々玉依に受け継がれ続けた秘密」

 秘密は二つあるの。

 一つは―……、小金井の血筋は実は朱楽の血筋。
 小金井の血は既に遠い昔に途絶えているの。そう、初代玉依姫の時代から。
 初代守護者・小金井壱縷は朱楽家の嫡男、本来の跡取りであったの。
 けれど、彼は小金井家の養子に出てしまう。その理由は……、
 『次に生まれる女子は強い霊力を持つ、その子こそが神の娘で真の跡取りだ』
 と、彼は両親に言ったからと言われているわ。
 確かに、彼の言葉の通り次に生まれてきた娘は強い霊力を持っていたの。
 その後、彼は生まれてきた妹である初代玉依姫の守護者となり、
 彼女を厄災から守り続けてきたと言われているわ。
 その時、小金井家には壱縷以外の子供は居なかった。
 だから、その後の子孫は小金井家の血を持たず、朱楽の血を持っているの。

 そして二つ目の秘密。
 これはさっきの話にも出てきた初代玉依姫に関する秘密よ。
 初代玉依姫・朱楽零夜。彼女の持つ霊力はあまりにも高すぎた。
 強すぎたせいで、彼女は数々の不幸に巻き込まれることになったの。
 彼女は今でもまだ生き続けているのよ。 死に別れた小金井壱縷を探し続けて……。
 彼女は壱縷を実の兄と知らずに、彼を一人の男として愛してしまった。
 やはり彼と結ばれることはなく、別の男と結婚し、子を産み育てる事となる。
 けれど彼女は諦めることができなかったの。壱縷を想い続けて、生きていた。
 その心の隙を突かれ、彼女は妖(あやかし)に取り憑かれてしまうの。
 妖に取り憑かれた彼女は壱縷を探して全てのものを破壊し続けた。
 そして壱縷が命をかけて零夜を封じることに成功はしたものの、
 彼女は今だに、この朱楽家の地下に閉じ込められているわ。
 生きたまま、ね―……。
 その封印を代々の玉依姫が守り続けてきたのよ。
 自分の命を犠牲にしてね、ずっと何十年、何百年も。
 でも、もうその封印も解かれ始めている……、だから私は、
 初代玉依姫に匹敵するぐらいの強い霊力を持つ響を跡取りにほしいのよ。
 幼いあの子に押し付けるのは酷なことだと分かっているわ。
 けれど、アレをこの世に出すわけには行かないのよ。

 

私の言葉を馨は信じられない、とでも言うように目を見開いて聞いていた。
話し終えた私の顔をじっと見つめ、口を開いた。


「それは、本当の話なの、か?」

「えぇ、本当の話」

彼が息を呑むのも分かる。
こんな話を信じろというほうがまず可笑しいもの。

「特に二つ目の秘密のほうが重要なの。これは口答でのみ代々の玉依姫に伝えられているのよ」

「……貴方は、こんな秘密を独りで抱えて生きてきたのか?」

独り、そうね。そういえば独りだったわ。
静かに頷く。
私はいつも独りだった。
夫も、独立した後の子供達も、私にはとても冷たかった。
独りでこの朱楽家を守り続けてきた―……。

「馨、私疲れてしまったわ」

独りで生き続けるのは、疲れてしまった。
つい零れてしまった言葉に、馨は静かに涙する。
本当に泣き虫ね、貴方は。

馨の左手が私の頬に触れ、目元を拭う動作をした。
嗚呼そうか、私も泣いてしまっているのね―……。

「もう休んでも、いいかしら?」

「あぁ、もう休んでもいいんだ。……貴方の意思は、俺が継ぐから」

「……ごめんなさいね、貴方にまでこんなことを背負わせてしまって」

「いいんだ、俺は小金井家の人間でもあって、朱楽家の人間でもあって、そして」

微笑んだ彼の笑顔は、私の記憶に残っていたままで。
とても、眩しかった。

「響の守護者だから。何があってもアイツを守るし、零夜の件は俺が一人でやる」

やっぱり、貴方は私に似ているわ。
自分ひとりで抱え込もうとするところが。

「深冬も、貴方と同じ守護者よ。…何かあれば、彼女と協力しなさい」

「……気が向いたらな」

意地っ張りなところもそっくりね。
笑いを堪えることが出来ず、クスクスと笑い声を零しながら笑うと、
またばつの悪そうな顔をして私から目を逸らした。


「ねぇ、馨」

私は卑怯だから、貴方に二つのお願いをするわ。
一つ目は……。

「私を、楽にして頂戴?」

一瞬驚いたように目を見開いたが、直ぐに伏せ。

「……分かった」

私の望む答えをくれた。

「ありがとう。……ごめんなさいね、貴方にばかり辛い思いをさせて」

そして二つ目は。

「響を、お願いね」

「言われなくても、分かってるよ」

愁の、響の父親の最後の忘れ形見を。
私の大切な孫を―……、守ってあげて。
勝手な願いだとは分かってはいるけれど、他に頼れる人間が居ないのよ。

「ありがとう」



目を伏せ、最後の時が来るのを待つ。



「さようなら、今代の玉依姫。さようなら、おばあ様」




あぁ、馨。
貴方はこんなにも酷い私を、また『おばあ様』と呼んでくれるのね。
ありがとう、私の大切な―……。


















そこで、私の意識は途絶えた。
きっと彼等なら全てを終わらせてくれるだろう。
私達、玉依姫に課せられた悪夢を。

私の可愛い孫達なら、きっと……。


End
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【2009/01/03 23:56】 | 小話 | コメント(0) | page top↑
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