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『世界は変化する』
新年の挨拶が済んだ次の更新は小話?

いやー……忘れないうちに書いておこうと思って、ね?

……どうせ、私とアイツの話でしょ

うん、正解

……今更言い訳みたいなこと、聞きたくないわ
私、あっちに行ってる



あ、コラー。……ま、仕方ないか
クリスマスプレゼントくださった皆様、ありがとうございまーす!
前回の記事にお礼の言葉入れわs(グシャ)
その紹介は、また時間があるときに←

また長くて微妙なお話になりますがお暇な時にでもお付き合いいただければ、
と思います。



このままではいけない。
そうずっと思っていた。だが、幼い響を残していくことは俺には出来なかった。
夜、記憶の片隅にしか残っていないだろう母の思い出を夢に見て泣く小さな妹。
そんな彼女を一人残して、行ける訳がない。


けれど、もう時間がない。


全てを終わらせなくてはならない。
彼女を、この悪夢に巻き込む前に全てを終わらせなければ。



元々、荷物はそんなに多くなかった。
逃亡生活を続けていた俺達に、必要最低限の荷物さえあればよかった。
だから今の家に定住した後もそんなに物が増えることはない。
大きめのスポーツバッグに必要最低限の物を詰め込む。
俺の物が無くなった部屋は、少しだけ淋しくなった。


もう、ここに戻ってくることはないのかも知れない。


一瞬だけ、躊躇してしまう。
だが、それでも俺はやらねばならない。
もう一度だけ部屋を見回して、この光景を目に焼き付ける。
忘れないように―……。

重たくなったスポーツバッグを左肩にかけ、玄関へ向かう。
その際にリビングの茶色い卓袱台の上に真っ白な封筒を残す。
学校から帰宅した響が直ぐに見つけれる場所と言えば
ここがベストだろう、そう決めてここに残すことにした。
その手紙を読んだ響はやってくる。

全ての始まりの場所へ……。












焼け落ちた跡の残る小さな廃墟。
雨水を凌げなくなった天井を見上げながら、響が現れるのを待ち続けた。
これから告げる事を彼女は受け入れてくれるだろうか……?

コツンッ

静寂を破る小さな足音。
嗚呼、ついにこの瞬間(とき)がやってきた。
目を閉じて想う。これが彼女との最後の会話になる、と。

「……馨?」

背後から小さく俺の名を呼ぶ声が聞こえる。
目を開き、ゆっくりと振り向く。

「響、よく来たな」

精一杯笑顔を向けて、少し怯えている響を安心させようと試みる。
それを見て響は安堵の息を吐いて、安心しきった笑みを俺に向けた。

「いきなり、どうした、の? ……ここ、馨が一番、行きたがらなかった、場所なの、に」

そう、ここは俺が一番行きたがらなかった場所。
美奈子さん―、義母と響と3人で過ごした家だったから。
楽しかった思い出を否定する場所だったから。

「あぁ、そうなんだけどな。……ここじゃないと、話せないから」

「話せない、こと……?」

不思議そうに首を傾げて、純粋な眼差しを俺にぶつけてくる。
恐らくこの眼差しは、憎しみに変わる。
少し悲しくなって、小さな妹の目線に合わせるようにしゃがむ。

「あぁ、これからいう事を心して聞いてくれ」

「……う、ん」

真剣な俺の顔を見て、真面目な話だと理解したようで眉をキリリと上に吊り上げて、
響もまた真剣な表情を浮かべた。

「……俺は、家を出る」

「……どう、して?」

「どうしても、やらなくちゃいけない事がある。その為には、響を置いていくしかない」

響の表情が悲愴な面持ちに変わっていく。

「…なん、で? ずっと、いっしょ……、ずっと一緒にいて、くれるって」


気が遠くなるような程、昔の話。
義母さんを亡くした俺達が、彼女の墓の前でした約束の話。
自分の母親が死んだという自覚がないものの、
ずっと彼女の墓の前で泣き続ける響にした約束。


『うぇぇ…、うぇぇえええんっ』

『泣かないで、ヒビキっ。俺が、ずっと傍にいるから……っ』

『ひっぅ、ひっく……、にーたん?』

『どんな事があっても、俺はヒビキの側にいるから』

『ふぇぇ、にーた…、にーたん』

『約束。俺は死ぬまでずっと、ヒビキと一緒に居るよ……』

『……うんっ、やくそ、く』












「あぁ、約束した。だけど、ごめんな。……約束を破る」

響の目から大粒の涙が溢れ出す。
何度も両手で目元を拭いながらも、必死に強い意志を込めた目で俺を見つめる。

嗚呼、強くなったな。
これなら大丈夫だ。

「もう響も中学生になる。だから、独りでも大丈夫だよな?」


俺達は互いに依存し続けていたんだ。
世界は俺達二人しか居ないものだと決め付けていた。

でも、違うんだよ響。
俺はこの学園に来て、沢山のかけがえのない大切なものを見つけたよ。
世界は俺達だけじゃないんだ。
沢山の、暖かくて輝いている宝物がいっぱいあるんだ。
響だって、見つけただろう?
大切な友人たちを―……。
だから俺達はいつまでも依存しあっていては駄目なんだ。

目を開けて、変わり往く世界を見守ろう?
大丈夫、怖くない。
だってこんなにも変わった世界は優しくて暖かいのだから。


けど、響がその世界で笑いあうためには消さなくちゃいけないものがある。

朱楽家―……。
コイツ等の為に、俺達がどれだけ苦しんで来たことか。
この一族の悪夢の連鎖を断ち切らなければ、いつまでも俺達は自由になれない。


だから


「ごめんな?」

泣き続ける響に背を向けて歩き出す。
全てを終わらせる為に。

「まって……!」


b07116_pin2_1.jpg



後ろから悲痛な、叫び声にも近い、呼び止める声。
今すぐにでも振り返って、泣き震える響を抱き上げて慰めたい。
けど、それじゃ駄目だ。何も変わらない。
唇を切れそうなぐらい噛み締めて、止まりそうになる足を前へ前へと押し出す。







廃墟の外に出た。
ゆっくりと振り返り、先ほどまでいた部屋の窓を見上げる。
恐らくまだ響はあそこに居る。


……大丈夫だ。
響なら道を間違えることはない。
それに美奈子さんでもある骨が、彼女の傍にいる。
俺は俺のすべきことを果たすことに集中しなくてはならない。




「俺は、朱楽家を滅ぼす」





響を守るためにも。
変わった俺の世界を、大切なもの達を守る為にも。
立ち止まるわけにはいかないのだから……。




End
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この画像は、株式会社トミーウォーカーの運営する
『シルバーレイン』の世界観を元に、
株式会社トミーウォーカーによって作成されたものです。
イラストの使用権は作品を発注した小金井睦月に、
著作権はパプリカ紳士絵師様に、
全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
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【2009/01/03 23:47】 | 小話 | コメント(0) | page top↑
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